札幌なかまの杜は、プログラムの基本において、北海道浦河で生まれ、東京大学先端研において新たな実践的学問領域として採用された(2015)「当事者研究」や
フィンランドで生まれ、統合失調症を持つ人への危機介入のアプローチとして注目されている「オープンダイアローグ」などの「対話実践(dialogue practice)」を活用しています。
そして、このプログラムの実施においては北海道医療大学先端研究推進センター当事者研究分野の研究スタッフ(向谷地生良特任教授、奥田かおり講師他)のサポートをいただき実施しています。
もし、関心がある方は、札幌なかまの杜クリニックまでお申し出ください。
札幌なかまの杜は、受診前・デイケア利用前の方を対象に向谷地生良さん(北海道医療大学名誉教授/浦河べてるの家)の「こころと暮らし」に関する無料相談を受け付けています。ご希望の方は、札幌なかまの杜クリニックまでお申し出ください。
当事者研究⇒
当事者研究は、「自分自身で、ともに」を基本理念とし、生活上の困りごとや関心事に、常識にとらわれずに、 「問いや課題」を前に置きながら「研究する」という視点に立って自由自在に語り合い、時には、図(絵)や、 演技(アクション)を用いて出来事や苦労のおきるパターンやしくみ、かかえる苦労や困難の背後にある意味や 可能性を一緒に考え、意味を発見していく対話のプロセスとして注目され、さまざまな領域に広がっています。対話⇒
自分と相手の違いを発見して一致を目指さないコミュニケーションオープンダイアローグ⇒
対話実践⇒〈対話実践〉は、困難さに直面した家族や本人が、話を聴いてもらい、尊重され、認められたと感じる よう援助するためのアプローチとしてはじまったもので、オープンダイアローグ(フィンランド発祥)や当事者研究 (北海道発祥)が知られています。札幌なかまの杜クリニックは、道内で唯一の対話実践をケアの柱として取り入れ ているクリニックです。向谷地 生良(むかいやち いくよし)
プロフィール
青森県十和田市出身
北星学園大学文学部社会福祉学科(現社会福祉学部)を卒業(1978.3)後、1978年4月より北海道日高にある総合病院 浦河赤十字病院医療社会事業部に精神科専属のソーシャルワーカーとして勤務。
1979年4月より、町の古い教会堂(浦河教会‐後のべてるの家)を、拠点として精神障害を持つメンバーと共に、当事者の交流活動と共に共同生活(3年間)を開始。1983年11月にメンバーと共に日高昆布の袋詰めの下請けをはじめ、
1984年4月に「浦河べてる(“神の家”の意)の家」を設立。精神障害を体験した若者たちの地域貢献、社会進出を旗印に「商売」として日高昆布の産地直送、紙おむつの宅配に挑戦。
1993年6月には、べてるのメンバーの他、全国の出資者を得て有限会社福祉ショップべてるを設立(べてる総会、後のべてる祭りをはじめる)。その後、本格的に福祉関連事業に進出、その他、出版事業、教育研修事業、メンテナンス、配送、赤十字病院の給食関連業務の請負、地域の企業とのタイアップ事業などに総勢100名をこえる当事者が関わる規模に成長。
2001年に「当事者研究」を創案し、メンバーの自助、スタッフの相談支援に取り入れる。2002年、全国ではじめて当事者が理事長・施設長に就任し、社会福祉法人を設立。2003年4月より、北海道医療大学看護福祉学部臨床福祉学科(精神保健福祉士養成コース)で教鞭をとりながら、べてるの家がある浦河と全国各地をメンバーとともに「当事者研究」の普及をめざして飛び回る毎日を過ごしている。
2015年4月には、東京大学先端科学技術研究センターに「当事者研究」の講座が開設(代表・熊谷晋一郎)され7月には当事者研究ラボが発足、本格的に「当事者研究の研究」がはじまり、研究者、臨床家、当事者、家族、市民の学際研究の拠点となりつつあり、さまざまな共同研究に参加している。
国際交流も盛んになり、2011年より毎年、当事者研究をテーマに韓国で、2012年3月にはアメリカのモンタナ大学(大学院講義)、2013年2月にはスリランカの国立精神保健機構(講演)、2014年3月には、バングラディッシュで当事者研究ライブ、9月にはイギリス(UEA- University of East Anglia)で当事者研究のシンポジウムに参加、
2017年にはマンチェスター大学、2018年度は韓国忠北大学、全南大学、韓国カトリック大学、崇実大学、イタリアトリエステ、
フィンランドケロプダス病院との間でも当事者研究を通じた研究交流がはじまっている。
2021年3月、北海道医療大学を定年退職。4月より名誉教授、看護福祉学部、大学院看護福祉学研究科、先端研究推進センター特任教授に就任。10月より社会福祉法人浦河べてるの家理事長
べてるの家は
1999年度日本精神神経学会第1回医療奨励賞、
2000年度若月賞(川村敏明医師)、
2003年毎日福祉賞及び保健文化賞(浦河べてるの家)、
2005年札幌弁護士会人権賞
2013年度リリー賞(佐々木実理事長)、
2014年度精神障害者リハビリテーション学会ベストプラクティス賞
(浦河べてるの家)を受賞、
2019年には毎日出版文化賞(医学書院・ケアをひらくシリーズ企画部門
-「べてるの家の非援助論・べてるの家の当事者研究・技法以前」他)
を代表で受賞。
○主な役職
・学校法人北星学園理事
・一般社団法人伴走型支援協会 代表理事
・社会福祉法人浦河べてるの家理事長
・一般社団法人協同総合研究所副理事長
・NPO法人女性サポートAsyl副理事長
・学校法人フレンド恵学園理事